あなた、もしくはあなたの身内が軽い衝突事故を起こしたとする。バンパーに傷が付いたが、それほど重大なダメージでもなさそうだ。車両保険を使うのも惜しいし、修理屋に高い修理代を払うのも気にくわない。

そう今こそ自らの手で修理を行なうべき場面である。ただし焦ってはいけない。ハンマーとドリーを持って作業に取りかかる前に、車体のダメジを受けた部分をよく観察し、どんな修理方法を実践すれば良いかをしっかりと吟味する必要がある。

作業計画を練ることは自動車修理において非常に重要だ。計画があるからこそ、適正な手順で自動車を道路へと復帰させることができるのだ。

ダメージを見極める

ダメージには修理可能な箇所、修理不能な箇所があるはずだ。まずは、自分が修R理できる箇所はどこか、パーツ交換が必要な箇所はどこかということを見極めなければならない。

ダメージが外装のシートメタルに限られず、内装や機能部分まで及んでいることが発覚すれば、評判の良い修理屋に持っていって見積もりを立ててもらいたくなるだろう。

この見積もりを取るという行為は、ダメージの見極めにおいて2つのことに役立つのだ。修理が苦手な者や、修理のためのツールをこれから購入する必要がある者にとっては尚更かもしれない。

ひとつ目は、経験を積んだ修理工は、隠れたダメージまで見つけることができ、交換が必要なパーツをリストアップできるということだ。これは非常に重要である。この情報を元に、これから自分がすべきことを的確に判断することができる。

ふたつ目に、当然のことだが、修理屋に完全修理を依頼した場合の費用を知ることができる。修理が手の込んだものになるようであれば、時間さえあれば、修理屋に任せるよりも自分で修理を行なう方がずっと安上がりだということを、すぐに確認できるはずだ。

購入する必要のあるものが、ハンマー、ドリー、パテ1ガロン(約3.81)、紙ヤスリ数枚、塗料1クオート(約0.950程度であれば、修理屋に依頼するよりも費用を安く済ませることができる。

付け加えるなら、元々コンプレッサーなどのツールを購入するつもりであったならば、さらに好都合だ。そういったツールは高価だが、もし必要な工具を購入するつもりなら、そして修理のための予算を捻出することができるのなら、後は私が導いて差し上げよう。ただし、カミさんが財布の紐を握っているのであれば、まずは彼女を説得する必要がある。

修理屋に修理を依頼する場合、どの店でも共通してこの質問を投げかけられるだろう。

「支払いは保険料からですか? ご自分ですか?」。あなたが保険を行使すると答えた途端に修理費が跳ね上がる、というわけではないが、どのような作業を行なうかということや、修理の最低ラインを決める上で非常に重要となる。

保険会社は、普通は修理中の代車料も支払うことになるため、できる限り早く作業を終わらせようとするのだ。これを突き詰めると、有能な修理工なら修理できるパーツも、時間を節約するためにほとんどが交換されるということである。

交換するためのパーツは高価だが、保険会社にしてみれば、車両が復活するまでの手間を少しでも減らしたいのだ。ただし車種によっては、大規模な修理を施すよりも、交換用パーツの方が高くつくという場合もある。

さらに、交換作業に付随する分解と組み立てという作業も、費用を左右する要素となる。同じダメージを負った車両にも、修理か交換かによって、全く異なる費用が見積もられることとなるのだ。