固定用ボルトの位置は、車種やモデルによっても変わるため、ここで完全に正確な位置を指摘することはできない。
ただし、以下の解説で一般的なものを紹介する。比較的新しい車両(バンパーが分離しているものではなく、フロント周りが一体になっている車種)では、フロント周りやリア周りのパーは、インナーフェンダーや外装に付けられた溝や窪みに収まり、ホイールハウスに沿って開けられた穴をネジやボルトで締め付けることで固定されている。
この取り付け方法はパーツを正しい位置に固定することを容易にし、アクセスしやすい場所にあるにも関わらず、一部がタイヤの陰に隠れるため接合部分があまり目立たないという利点を持っている。
フロントフェンダーは、大抵の場合は上端に沿ってボルトで締め付けることによって、インナーフェンダーに固定される。
この場所へは、ボンネットを開くことで簡単にアクセスすることができる。
使われるボルトは通常1~2本で、フェンダーの下の方にあるドアの前方辺り、場合によってはタイヤの前方辺りで固定されている。ただし、パネルのデザインによって固定方法は様々だ。
ドア、ボンネット、デッキのフタなどは、ヒンジの部分のボルトを外せば分解することができるが、アクセスするためにはインナーパネルを取り外す必要があるだろう。
ヒンジの部分は、組付けの際に位置が狂わないようダメージを受けて交換の必要がある場合を除いて分解しない方が良い。
グリルやヘッドライトの固定方法は実に様々な種類が存在するが、フェンダーの側面までを覆うようなデザインのものが多いようだ。
ヘッドライトを外す前にグリルを外す必要がある場合、または反対にグリレの前にフェンダーを外す必要がある場合がある。
古い車両
古い車両において、ヘッド形状があまり攻撃的でないボルトで固定されたバンパーは、固定箇所が分かりやすいため簡単に分解することができる。
バンパーは通常、バンパーブラケットに4~8本程度のボルトで固定され、ブラケットはさらに4~8本のボルトでシャシーに固定されている。
フロントフェンダーは、最近の車両と同様、複数のボルトでインナーフェンダーに固定されているが、そこにはホイールハウスの前方辺りにラジエーターを、裏側辺りに外装を固定しているため、比較的ボルトの本数は多い。
ボンネットに関しては、ヒンジとスプリングが合わさったアッセンブリパーツに取り付けられているのが普通だ。組み立ての手間を増やさないよう、このアッセンブリーは分解しないこと。
もし分解の必要が出てきたら、マスキングテープで正しい取り付け位置の印をパネルに付けておき、組み立ての際はその印を参考にする。
ドアやデッキのフタは、ヒンジ部分で固定された2~3本のボルトを外すことで分解することができる。
グリル、ヘッドライト、テールライトは、フェンダーやボンネットと共に流線型を描くようなデザインを持っているが、それぞれ別々に固定されているのが普通だ。
グリルとヘッドラ仆は通常ラジエーターコアの台座の部分に固定されており、テールライトはリアのクォーターパネルやテールパネルに直接固定されるのが普通だ。
資料
少しでも正しい分解方法に近づけるためならば、何でも利用した方が良い。
自動車のエンジンやトランスミッションなど、機構部分の分解と組み立て方法を詳しく説明する分厚い資料は存在するが、それ以外のパーツについては同様の資料があまりなく、業者でも持っていることは稀だ。
修理工場で働く者は、資料ではなく実際の体験を元に様々なことを学び取っていく。実物を見ることで、ドアは車種やモデルが変わっても、ほぼ同様の方法で取り付けられていること、また、GMやフォードのフェンダーには特殊な接合方法が使われていることなどを、経験から学ぶのだ。
プロは経験から学び取る。さあ、あなたは何を頼りに作業をする?
出典:自動車板金修理