サンドブラストの作業が終了したら、表面に付着したメディアを取り除かなければならない。メディアの大部分は再利用できるため、オイル
やグリースが付着していなくても、ブラストを施したパーツは洗浄する必要がある。

オイルが少しでも付着していれば、パーツが癒着する原因となってしまうため、サンドブラストを施した後にパーツを完全に洗浄する作業は不可欠と言える。

サンドブラストの欠点 は、狭いエリアに入り込んでしまったメディアの除去が困難なことだ。フェンダーのような単純な形状のパーツではあまり問題とはならないが、ドアの外装や、トラックの運転台、乗用車の車体などでは、細かい隙間にメディアが入り込み、完全に除去することが非常に困難になる。

メディアが隙間に残っていても、車の性能には問題ないかもしれないが、トップコートを施している真っ最中に空気圧で吹き出てくるのには困る。何年も前になるが、私はシボレーの小型トラックの運転台にサンドブラストを施していた。このタイプのトラックは、ルーフは二重構造だがバックパネルは1枚になっている。端的に言えば、その二重構造の隙間から、大量の細かい砂が出てきたのだ。内装をしっかりとチェックしていなかったため、ルーフ内に入り込んだ砂が全て残っていたのだ。その結果、そのトラックを運転していると、車体が少し揺れる度に運転席で砂の雨が降ることになった。

剥離剤による塗装剥離

薬剤で塗装や錆を剥離させる方法は自宅でも行なえるが、商業的にも利用されている。使用に際しては、剥離するエリアの広さと、そのエリアに対する剥離剤の有効性が最も考慮すべき点である。

広いエリアをいくつも剥離する必要がある場合は、専門職に任せるのが現実的だ。また、剥離するエリアが1-2カ所程度であったり、実質フェンダーのみの作業などという場合であれば、自分で行なうことができるだろう。

剥離剤は厚く塗られたプラスチックパテには効果が出にくいため、剥離する表面にそのような部分があることがわかったら、剥離剤を使用する前に可能な限 涂去しておくこと。

この作業はオービタルサンダーに36番のディスクを付けて行なうのが簡単だろう。パテが厚めに残ったまま剥離剤を使用すると、ある程度は剥がれるが完全に除去されることがない。

結局パテに隠れた部分には剥離剤が効かないため、全くもって時間の無駄と言えよう。メーカーに関わらず、塗装剥離剤は人間に良くない影響を与える。

物が多い。従って、購入の際は製品のラベルに書か良く確かめること。剥離剤を手作業で使用する場合は、ゴム手袋スピレーター、厚手の靴かブーツ、長袖、長ズボンの着用を強くお勧めする。剥離剤が肌に付けば、装備をするはずだ。最低でも、できるだけ長いゴム手袋は用意するべきだが、まあ、自分の皮膚が焼けても良いというなら止めはしない。

整えなかったことを必ず後悔この情報は剥離剤の使用説明書には書かれていないが、塗装を剥離する前に塗装面を36番か50番の紙ヤスリで研磨し、わざと傷を作っておくこと。しっかりと施された塗装には剥離剤が浸透しにくいため、傷を付けることで中まで染み込ませる必要があるのだ。

この作業を行なうことで、使用する剥離剤の量と、実際の作業時間を節約することができる。剥離剤を使用する際は、作業終了後にホースで水をかけても問題ないようなコンクリートの上にパーツや車両を置いて作業を行なう。

使用する剥離剤の原料を調べておき、剥離を済ませた後はむやみに捨てず、しかるべき方法で正しく破棄すること。塗装面に研磨によって傷を付けた後は、刷毛を使用して剥離剤を塗り広げる。

そして剥離剤が塗装やパテに浸透し、全ての層を金属表面から落としきるまでしばらくの間待つ。塗装面が泡立って浮いてくるので、スクレーパーかカミソリの刃などを利用して、表面からこそぎ落とす。このとき効果が薄い場所には追加で剥離剤を塗っておくこと。

塗装がパネルから完全に剥離したら、次の作業を行なう前に表面に付着している剥離剤を完全に中和しなければならない。中和に特別な方法が必要となる種類の剥離剤を使用していなければ、大量の水をかければ良い。ただし、流した水は集めておき、地域の条例などに従って正しい方法で破棄すること。

車1台に丸ごと剥離剤を使用した経験は私にもないが、ひとつずつのパーツに施すならばあまり関係ないだろう。自ら作業を行なう者にとって、フェンダーや小さめのパネルから塗装を剥離するような場合は剥離剤が非常に有効な手段となる。

業者による塗装剥離

剥離するパーツが無数にあったの範囲が非常に広い場合(車両全体という場合も含め)は、業者に依頼する方法が現実的だ。このとき、可能な限り分解を済ませ、古いパテもなるべく除去しておくのが賢明だろう。大きめのパーツは個別に、小さめのパーツはバスケットにひとまとめにされて薬剤に浸される。

剥離作業が施されるパーツは、まず始めに“ホットタンク”と呼ばれる腐食性の溶液に浸され、付着しているワックス、グリース、塗装を全て落としきってしまう。金属の構造にもよるが、この工程は4~8時間を必要とする。金属からワックス、グリース、塗装が完全に剥離したら、パーツをホットタンクから引き上げ、その後真水に3~4時間漬けることで溶液を洗い落とす。

次の工程では、金属地が露になったパーツを錆取り用の溶液に浸す。錆を落としている間、溶液には電流が流されている。

クロム塗装やパウダーコーティングは、パーツに電流を流すことで表面にクロム分子や素材粉末をコーティングするが、ここではそれと反対に電流が流れており、錆を落とす働きをしている。酸化鉄の分子(錆)がパーツから引き剥がされ、後にはきれいな金属だけが残る。

金属の状態や錆の量によっても変化するが、この工程には20~40時間が必要とされる。その後、残ったきれいな金属のみを錆取りの溶液から引き上げ、再び真水でしっかりとすすいで付着した溶液を完全に除去する。

剥離剤によって剥き出しになった金属は、できるだけ早くエポキシプライマーによる下塗りを施し、表面を錆から守る必要がある。剥離剤を使用すると、ひとつのパーツについては塗装面全体に効いてしまうことが長所でもあり欠点でもある。

また、全ての錆を取り除くことはできるが、エポキシプライマーの下塗りや塗装が届かない場所は裸の金属地がコーティングをされないまま残ってしまうという問題もある。

グラインディング/サンディング

装を剥ぎたいエリアが、いくつかのパーツに点在する程度であれ塗ば、電気式か圧縮空気式のオービタルサンダーを使用すれば充分間に合うはずだ。36番のサンディングディスクを使用することで、古いパテ、塗装、プライマーなどを思い通りに、かつスピーディに除去することができる。

この方法ならば、パーツをトラックに積んで業者まで運び、サンドブラ자や剥離剤による剥離を依頼するよりも短い時間で仕上げることが可能となるだろう。

ただし、この方法は正常なパネルを歪ませる原因となる大量の熱を発生させるため、使用できる範囲が比較的小さなエリアに限られることになる。

従って、車両全体に対して、サンダーによる剥離を使用することはできないのであるいくつかのサンディングディスクを使い分けるなどしない限りは確実に金属を歪ませてしまうが、この方法は非常に時間がかかる。

小さいエリアに使用する場合であっても、サンダーを一点に留めず、円を描くように動かし続ける必要がある。また、サンディングディスクが平らな状態ではなく、表面に対してわずかに曲がって当たるような状態でサンダーを使用する必要があることも覚えておくこと。

出典:自動車板金修理