自らの手で修理を行なうとなれば、もちろんその費用は全て自腹で賄わなければならないただし、あなたの作業可能な範囲はヘコミの修正、再研磨、再塗装と限られるので、交換するよりもずっと小規模な作業になるはずだ。

保険料を使ったプロの修理屋の仕事となると話は別で、操作系のレバー類やパーツのブラケットなど、僅かなダメージを受けただけのパーツまで修理せずに交換してしまう。

普通、顧客は万全な修理を求めて、保険会社に全てを委ねる判断を選択するものだ。不慮の出来事が起こったとき、その出来事をなかったことにする目的で保険に加入するのだから。

しかし、あなたが自分で作業をするとなったら、修理の必要がなければブラケットには手を出さないだろう。ボンネット、ドア、デッキのフタなどの内部までは見ようとしないし、塗装が多少欠けているくらいなら気にしないはずだ。

機能的に異常がなければそのまま乗り続けるのではないだろうか? これは、どこまで修理するかを自分で決定する必要があるということだ。また、ある程度名の知れた修理屋であれば、作業内容が評判に直結するため、顧客満足を第一に考える傾向があるが、あなたが自分で作業を行なう場合は、財布の中身が第一の優先事項だ。

作業を行なう上では、修理をするべきでないパーツまで手を付けないように気を付けること。運転中、様子がおかしい車を見たことはないだろうか。

例えば、直線で走行しているにも関わらず、4つの車輪が見えるなどだ。そのような車両は、充分な整備がなされていないにも関わらず、軽率にも路上へと舞い戻ってきたのであろう。

この本の読者諸兄には、もしも自分の車に問題がある場合、例えばハンドルやシフトに違和感があったり、ブレーキが効きにくい場合などは、闇雲に溶接を駆使したり、パーツを交換したりして、鼻高々にはならないでほしい。

操作に支障を来すような構造上のダメージは、必ずプロの修理屋に判断してもらうこと。見た目だけ取り繕って、実は安全な操作ができないような車は、あなたも欲しいとは思わないはずだ一度事故を起こしてしまったらアウトなのである。

交換対象のパーツ

シートメタルのヘコミは、時間さえあれば修理によって完全に取り除くことは可能だ。しかし、もしも折り目が付いてしまっている場合、交換という方法を考慮する必要がある。折り目を取り除くことは非常に困難なのである。

また、シートメタルの裂け目は、パッチパネルを必要とするにせよ、金属を当てて溶接することで修理によって対処することはできる。